酸化鉛の環境危険性

酸化鉛 [ PbO ]

物性値&諸特性

分子量 223.20
融点  888℃
比重  9.53
溶解性 0.017g/L(20℃):水,酢酸、希硝酸に可溶

平成10年度の使用量 29,309t
用途:電子材料(圧電体etc...),電池材料,はんだ

人体への影響
粘膜刺激性がないため吸入及び経口摂取による局所性の毒性を示さない。

[ 軽度鉛中毒 ]
吐き気、嘔吐、上腹部不快感、食欲不振、腹痛、便秘、貧血。
造血機能への影響として、ヘモグロビン合成阻害、赤血球寿命の短縮。
間質性腎障害、尿量減少、蛋白尿、血尿などのFanconi症候群。

[ 中高度鉛中毒 ]
四肢の筋の虚弱、疼痛、痙攣
運動失調、頭痛、知覚異常、特に小児においては特に影響が大きい。
生殖能力について、男性は血中鉛濃度0.528以上で男性は精子無能力症、精子数減少、奇形精子症が見られ、女性では不妊症、流産及び死産が多く報告されている

鉛排出原因
・ノッキング剤としての四エチル鉛
ノッキング剤とは自動車のエンジンで燃料を燃焼させるときに燃焼を引き起こすために加えられていた。現在は使用されていないが過去のディーゼル車などのエンジン燃料として使われていた。その理由としては燃料の生成技術の向上やエンジン内部の技術向上による。


上記鉛の有害性を危険視して環境に関する法整備が行われている。
2006年7月施行 有害化学物質使用規正(RoHS)

上記RoHSが注目を集めたのはsonyの携帯ゲーム機中に含まれるカドミウム量が規制にひっかかり製品回収をおこなわれたためである。このため電子機器のEU諸国への輸出などで特に注意が必要であり、この法律への注目が集まった。

実際の企業の対応として、松下電器の取り組みは次のようになっている。松下電器日本経済新聞社の環境経営度で首位となりRoHS対策としての有害化学物質の規制に力を注いでいる。
それについて注目してみる。


松下電器 追い出せ有害物質 〜RoHS指令対策〜
(参考 http://panasonic.co.jp/ism/RoHS/html/00.html )


有害物質を『全製品』、『世界中において』排除したという点がもっとも評価できる点である。
まず、この取り組みを行うきっかけとなったのは、EUの取り組みの高い目標による。5年後、10年後において現在及び今後使用される家電製品が埋め立てられたときに内部に含まれている鉛やカドミウムなどの有害物質が環境に流れ出すことを考慮しての規制を社内でも意識するようになった。そのため、始めはリサイクルを考えたが、費用がばかにならないことを考えその分を規制物質を排除した製品の開発にお金を回すことにした。実際に研究された分野は次のようになる。

六価クロムめっきの代替製品のかいはつ
・鉛フリーはんだを使った製品の開発(MDプレイヤーは世界初 1998年)
・・・etc

そして、このような技術を開発するとともに社内研修も行ったために意識の向上も行った。このような意識を徹底することがなによりも重要なのだと思う。


(参考URL)

大阪大学菅沼研究室(鉛フリーはんだ)
http://www.eco.sanken.osaka-u.ac.jp/web/index.html


(参考URL)

財)化学物質評価研究機構「既存化学物質安全性(ハザード)評価シート」酸化鉛
http://qsar.cerij.or.jp/SHEET/F2001_09.pdf



↑は与那国の海底遺跡です。